【エルサレム観光】超正統派ユダヤ教徒が住む、メア・シェアリーム地区に行ってみた

ultra-orthodox jewish people walking on the street of mea shearim area in jerusalem. TRAVEL
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聖地エルサレムの一画に、メア・シェアリームという地区があるのをご存知でしょうか。ここは、ユダヤ教徒の中でも超正統派と呼ばれる人々がひっそりと暮らす地区です。以前エルサレムを訪れた時に、びびりまくりながらこの地区に足を踏み入れてきましたので、その体験を共有します。※コロナ前の体験記になります。

超正統派ユダヤ教徒とは、ユダヤ教徒の中でも特に保守的な人々のグループを指します。彼らは、イスラエル国内だと、今回ご紹介するエルサレムのメア・シェアリーム地区や、テルアビブのブネイ・ブラク地区に密集して住んでいます。

ユダヤ教の戒律を厳格に守り生活する人々で、イスラエル国内でも社会問題として取り上げられることもしばしばあります。どのような場所なのか。早速解説します。

メアシェアリームはエルサレムの中にある一地区

西エルサレムの中にあります。

エルサレム旧市街から、歩いて30分、バスで20分程度の距離です。京都の中にある祇園みたいなイメージでしょうか。

route from old city of jerusalem to mea shearim
約2kmなので十分歩けますが、疲れたらタクシーもありです。

地区全体を回るのは大変なので、目抜き通りを歩いて散策するのをおすすめします。数時間か、多くても半日あれば回れます。

住民の超正統派ユダヤ教徒とは?

地区全体が見どころです。エルサレム全体が歴史ある街ですが、特にこの地区は異様な雰囲気に包まれています。

ultra-orthodox men and women walking in the street of mea shearim in jerusalem
メア・シェアリーム地区のメア・シェアリーム通り。メインストリート的位置づけです

まず、通りに面した建物の古さが目につきます。建物によっては、壁が一部崩れていたり、配線がむきだしになっていたりと、彼らの経済水準の低さをうかがわせるような外観です。

彼らはいわゆる世俗的なユダヤ人と異なり、会社員として働いたり、起業して自らビジネスをすることがありません。超正統派は、イェシーバーと呼ばれる神学校でユダヤ教について学ぶことに時間を捧げるので、就職したりしないのです。生活もイスラエル政府からの補助金を頼りに生きているので、裕福な生活はむずかしいのだと思います。

次に、黒と白の独特の服装の人しかいないことにお気づきでしょうか。礼服のような黒いスーツに、特徴的な山高帽、そしてもみあげを異様に長く伸ばした男性と、日本ではまず目にしない出で立ちの人ばかりです。シャツにジーンズの、自分の場違い感に焦ります。まるで過去にタイムスリップしたかのような錯覚におそわれます。

さらに、通りを女性が歩いていない、圧倒的な男性比率に驚きます。そして女性はほとんどが夫 (おそらく)と一緒で、一人で出歩いている人がいません。女性は女性で、丈の長いスカートに、頭にかぶり物と、一様に同じ格好をしています。

さらに驚きは、この地区のいたるところに見られる貼り紙。ヘブライ語はさっぱりですが、英語も書いてあるので辛うじて理解できます。

poster warning for women on how to dress in accordance with jewish laws
白と黒の世界で異様な存在感を醸し出すポスター

何が書いてあるかと思い、近づいてみると、女性の服装に関する注意喚起が書いてありました。

poster warning for women on how to dress in accordance with jewish laws
ところどころにGog and Magog, tzniusなど旧約聖書から引っ張ってきたと思われる言葉がみられます

大まかに要約すると以下です:

  • 基本的に、どんな体勢であっても膝下より丈の長い服を着るべきである
  • これはハラハー (ユダヤ法)によって規定されている
  • 正しい服装であるかチェックするのが夫やラビの役目である
  • これを守らない女性はユダヤの教えに背いており、公に批判される
poster warning for women on how to dress in accordance with jewish laws
ポスターからも、ユダヤの戒律を厳格に守ろうとする姿勢が読み取れます

これだけでもかなりインパクトある内容ですが、さらに旧約聖書の節を引用しつつ、続きます。

  • 男と女は分かれているべき
  • 男が通りにいるときは、女は脇によけなければならない
  • 男が近くにいるときは、女は大きな声を出してはならない
  • 男が外に多くいるときには、女は外出してはならない

現代の感覚からすると、かなり違和感を感じる内容かもしれません。かなり家父長制的な側面と、男女を明確に分離していることが見て取れます。

warning sign to female tourists not to wear short or tight clothes when in mea shearim area
観光客向けの注意書き。肌の露出した服や、タイトなものを着ないよう明確に注意しています

道端に女性をあまり見かけないのにも、これで合点がいきました。エルサレム旧市街の、嘆きの壁の礼拝所も男女で場所が別れているのも納得です。

観光するときに注意すべき点は?

先程のポスターからもわかるように、超正統派方は非常に保守的です。少なくとも、メアシェアリーム地区を訪れる時には、半袖・短パンなど肌を過度に露出した服装は慎みましょう。長袖・長ズボンが安全です。

郷に入っては郷に従えではないですが、彼らの地区にお邪魔させて頂く以上、最低限のリスペクトは必要と思います。また、もう1つ感じたのは写真を極度に嫌います。カメラを向けようものなら物陰に隠れたり、場合によっては怒る方もいます。

a girl peeking from the street of mea shearim in jerusalem
写真は物陰からこちらを窺う女の子。カメラは嫌がりつつも興味があるようです。

基本的に撮影はできるだけ控えるか、いやがる方にはカメラを向けないようにしましょう。とはいえ、中には好奇心旺盛で「写真撮れ」と要求してくるおじいさんもいます。まあ人それぞれですね。

終わりに

超正統派ユダヤ教の住む地区、メア・シェアリーム。少し勇気がいるかもしれませんが、最低限のマナーさえ守れば、問題なく観光できます。少しディープなエルサレム観光をしてみたい方には、候補の1つになると思います。

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