イスラエルに興味があるけど、治安が不安。旅行が好きだけど、治安が悪い国には行きたくない。こんな人向けにイスラエルの治安についてまとめました。
2014年からほぼ毎年現地に渡航している筆者の経験と、具体的なデータに基づき解説します。渡航を考えている方はこの記事を読んで状況をつかんでみてください。
また、過度に恐れる必要はないものの、イスラエルは無条件で安全だと言いたいわけではありません。最終的に渡航するかどうかは、十分な情報収集、その時々の状況も踏まえて、慎重に検討してください。
結論:イスラエル渡航は十分に可能
「最低限の情報収集と注意を怠らなければ、イスラエル渡航は十分に可能」これが結論です。
また、この記事の主なポイントは次の通りです。
- 2021年秋時点ではテルアビブ・エルサレム・ハイファなどの主要都市は十分渡航可能。
- とはいえ、ヨルダン川西岸地区・ガザ地区・レバノン・シリア国境には近づかない。
- 万全を期すために現地の情勢には注意。定期的に情報収集を。
- 旅行の基本動作として、人混みでの長時間滞在や夜遅くの外出を控える
ではなぜ渡航は可能と言えるのか、その理由を詳しくみていきます。
世界的に見てイスラエルは観光地として認知されている
世界銀行のデータによると、コロナが広がる前、2019年には、約500万人の観光客がイスラエルに入国しました。1996年以降、年によって多少の落ち込みはありながらも、右肩上がりで推移していることがわかります。
日本からは遠いこともあり、候補になりにくいのが現状ですが、この傾向はこれからも続くことが予想されます。イスラエル国営の航空会社、エル・アル航空による日本からイスラエルへの直行便が就航したことも追い風となり、これからさらに増えていくと予想されます。
続いてOECDのデータで観光客を国別にみてみると、アメリカ・フランス・ロシア・ドイツ・イギリスが最も多い国として挙げられています。欧米では、イスラエル = 観光地としての地位が確立しているのです。
そうはいっても、危ないんじゃないのという声もありそうですが、この後解説します。よかったらこちらの記事もあわせて読んでみてください。
近年のイスラエルの治安
ではここ10年、そして直近の治安はどのような状況なのでしょうか。
前提として、イスラエルは、パレスチナなどの近隣諸国と関係が良くないことを理解する必要があります。
2000年代初頭は事件が頻発
2002年に、イスラエルとパレスチナの間で大きな衝突 (第二次インティファーダと呼ばれています)が起きました。
これに伴い、治安が不安定になり、各地で事件が起きました。
定期的に起こるガザ戦争
特に気になるのがガザ戦争。ガザはイスラエルの一番南側にある、パレスチナ人が住む町です。今年の5月にも、事態が悪化し、日本でも連日報道されました。
ここ10年の主な動きは下記です。
- 2006
- 2008 -2009
- 2012
- 2014
- 2021
大きなガザ紛争は2-4年サイクルで起きていることがわかります。また、これ以外にも散発的に衝突が起きています。
ちなみに、ガザは報道機関や人道支援関係者を除き、一般人は入れません。また、ガザに住む人々も自由に外に出ることはできません。これが、ガザが「天井のない監獄」とよばれるゆえんです。
とはいえ、近年治安は比較的落ち着いている
あまりネガティブなことは書きたくないのですが、ここまで、事実として起きていることを紹介しましたが、近年は落ち着いています。主要都市にいく分には基本的に問題ないでしょう。
また、イスラエルはセキュリティチェックが非常に厳しいことで有名です。空港はもちろんのこと、バスターミナルや鉄道駅、大学、さらにはショッピングモールに入る際も入口に金属探知機・手荷物検査があります。
こういった厳重なセキュリティ対策もあって、治安は落ち着いているとも言えます。セキュリティなしでも安心して観光できるのが一番ですが、こういったところに、この国の現実を垣間見ることができます。
イスラエルの都市別の治安
基本的に行くことになるまちはエルサレム・テルアビブ・ハイファ・ナザレ・死海あたりが中心になってきます。イスラエル観光省発表のデータをみてもその通りになっています。
エルサレム・テルアビブは断トツで人気ですが、それ以外にも主にキリスト教・ユダヤ教にゆかりのあるまちが人気であることがわかります。
エルサレム
前提として、エルサレムは西側・東側に分かれていることを認識しておくことが大切です。
西側はユダヤ人が、対して東側はアラブ人が主に住んでいます。
エルサレム旧市街も基本的には問題なく見て回ることができます。
ただし、ダマスカス門周辺、それからアル・アクサーモスク周辺ではデモや衝突が起こることがありますので注意が必要です。万が一、滞在時に起きたら不用意に近づかないようにしてください。
もう少しエルサレムについて詳しく知りたい方は、下記も参考にしてみてください。
テルアビブ
全域にわたり、ほぼ安心して観光できるでしょう。
多くの観光客やビジネスパーソンでにぎわっており、中東屈指の大都市です。
テルアビブで観光してみたい方は、こちらの記事も参考にしてみてください。
ハイファ
テルアビブと同じく、安心して観光できるまちです。
イスラエルの中でも、ハイファは平和な雰囲気ただようまちとして知られています。
筆者も滞在しましたが、エルサレムで感じる緊張感と打って変わって、平和な空気感を感じます。海が近いと人も穏やかになるのでしょうか。
ナザレ
イエス・キリストゆかりの地でもあります。現在はアラブ人の街となっています。
普段は問題ありませんが、ガザ戦争などで緊張が高まっているときは要注意です。ガザに呼応する形で、ナザレでもデモが起こることがあるためです。
ナザレの観光スポットをこちらにまとめていますので、チェックしてみてください。
なるべく避けるべき場所
ここまで主要都市は基本的に安全と書いてきましたが、初心者の方が気を付けるべき場所もあります。
イスラエル南部地域 (ガザ隣接地域)
先程も書きましたが、ガザは封鎖されており、一部の関係者を除いて入れません。
また、イスラエル・ガザ地区の境界付近にある都市(スデロット、アシュケロン、アシュドッド)は念のため避けてください。このあたりは主に住宅が多く、観光地も少ないので、訪れる機会も少ないとは思います。
ヨルダン川西岸地区
ガザ地区と並び、ジュデア・サマリア地域、パレスチナとも呼ばれるこの地区にもリスクがあります。
何度も滞在歴がある方は行く方もいますが、初めて・もしくは土地勘があまりない方の訪問はあまりおすすめできません。
なぜかというと、①イスラエルに比べて、英語があまり通じない ②場所によってはイスラエル軍が駐留しており、緊張状態にある ③水準の高いホテルなどのインフラがイスラエルに比べて少なく、ゆったり観光したい人にはハードルが高い。(バックパッカー向けかも)
それでも、筆者はパレスチナ(ヨルダン川西岸地区)の主要都市を中心に訪れましたが、人は温かく、とてもいい思い出です。
イスラエル北部 ・レバノン国境周辺
イスラエルとレバノン国境もできれば避けたほうが良いです。
具体的にはロッシュ・ハニクラというポイントがありますが、この国境は国際連合が管理しています。
イスラエル北部・シリア国境周辺
イスラエル・シリア国境も避けてください。
ここにはゴラン高原と呼ばれる自然豊かなエリアがあるのですが、両国が領有権を主張しています。
気を付けること
イスラエルに旅行する際の注意点を紹介します。どれも海外旅行のときには必須の基本動作ばかりです。
出発前にしておくこと
事前準備が8割と言っても過言ではありません。保険はもちろんのこと、自分がどんな場所にいこうとしているのか、十分に下調べを行ってください。インターネットに情報があふれているので、情報はいくらでも取ることができます。
- 海外保険に入っておく
- 現地の価格の相場を知っておく (ぼったくり防止)
- 滞在エリア・行く先のルート・状況を調べておく
- 滞在前・滞在中は現地情勢について情報収集を怠らない
滞在中に注意すべきこと
滞在中も注意すべきことがあります。イスラエルに限った話ではないですが、こういったことに気を付けるだけでリスクを減らすことができます。
- きょろきょろしない
- 混んでいる場所に長時間滞在しない
- 多額の現金など貴重品を持たない
- 遅い時間に出歩かない
- 女性一人で出歩かない
- デモに参加しない
- 複数名で行動
- 現地の友人を作る
万が一、困ったら..。
ないことを祈りますが、万が一のことがあれば下記に連絡してください。
- 在イスラエル日本大使館に連絡
- カード会社に連絡
- 海外保険会社に連絡
まとめ
この記事が少しでも参考になれば幸いです。
この記事に限らず、ご自身でも現地の情報をリサーチ・把握してみてください。
準備さえしっかりすれば十分にイスラエル渡航を楽しめると思います。